思いがけない再会
- Hair siete
- 4月26日
- 読了時間: 3分
先日、思いがけずとても嬉しい再会がありました。
もともとは奥様(当時70代)がsieteに通ってくださっていて、次第に送り迎えをされる旦那様(70代後半)とも顔なじみになりました。
2軒隣にお住まいだったこともあり、道端でばったりお会いしたりお店の前を通るたびに手を振ってくださる、とてもありがたいご近所付き合いをさせていただいていました。
今は息子さんと暮らし赤坂を離れてしまいましたが、赤坂時代には忘れられない出来事がありました。
旦那様は少し厳しい方でしたが、それも奥様を思ってのこと。
ある雨の日、体調が優れず動きがおぼつかなくなっていた奥様を、一人で買い物に行かせてしまったことがありました。
たまたま仕事の合間にふと外を見ると、交差点の向こう側で、スーパーの袋を持ち、木に寄りかかりながらびしょ濡れで立っている奥様の姿が目に入りました。
急いで傘を持って駆け寄り、声をかけると、奥様は震えていて…。
スーパーの袋を受け取り、肩を支えながら、ゆっくりとご自宅までお送りしました。
管理人さんがすぐに気づき協力してくださったおかげで、無事お部屋まで辿り着きました。
後日、旦那様から「命の恩人だ」とまで言われ、感謝の言葉をいただいたことを今でも覚えています。
奥様は特に大きな異常もなく、めまいによるものだったとわかり、その後は必ずお二人でお出かけされるようになりました。
そんな日々の中、ある日ふらりと旦那様がお店を訪れ、
「息子と住むことになったんだ」と突然の報告。
長く赤坂に住まわれていたので、きっとこのままずっとこの街にいらっしゃると思っていた私は、寂しさを感じずにはいられませんでした。
頑固で、気さくで、曲がったことが許せない人。
バーニングの社長と喧嘩したこともあるほどのまっすぐな方でしたが、
年齢とともに、生活スタイルも変えざるを得ない現実に直面しているのだと、いろいろなことを考えさせられました。
奥様も心筋梗塞や脳卒中を経験され、介護が必要となり、施設への入所が決まったと聞きました。
引っ越しの日が近づくと、お父さんがご近所さん一人ひとりに別れを告げる姿をよく見かけました。
握手を交わし、お辞儀をし、肩を叩き合う姿に、長年築いてきたご縁の深さを感じました。
それから3年──。
仕事中、ふと横断歩道を渡ってくるご老人と目が合いました。
鋭い眼光はあの日のまま。すぐにお父さんだと気づきました。
お客様のヘナ放置の合間だったこともあり急いで挨拶に駆け寄ると、力強く両腕を掴まれ
「元気そうだな!よく頑張っているな!君に会えたことが今日一番の収穫だよ!」と、昔と変わらぬ力強い声で言ってくださいました。
奥様の近況やご自身の暮らしのことも聞かせていただき、
「また来るからな!」と、80代とは思えない軽快な足取りで去って行かれる姿を見送りながら、胸が熱くなりました。
美容師として、長く赤坂で仕事をしてきた中で、
こうしたご縁にふれるたびに、心からこの仕事を続けてきて良かったと実感します。

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